司法試験は、日本でも最難関の国家試験の一つとして知られています。その難度の高さから、「社会人が挑戦するのは難しいかもしれない」と挑戦をためらっている方もいるのではないでしょうか。
しかし、たとえ社会人であっても、準備や取り組みの方法次第で司法試験・予備試験に合格することは十分に可能です。この記事では、司法試験・予備試験に社会人が挑むにあたっての方法やおすすめの勉強方法などについて解説します。
司法試験・予備試験は社会人でも働きながらで合格できる?
司法試験・予備試験への合格は、社会人が働きながらでも十分に可能ですが、ポイントを押さえた努力が必要です。
社会人が弁護士になるにはどんな手段がある?
社会人が弁護士にある方法は、大きく分けて以下の2つです。
- 法科大学院に通う
- 予備試験を受ける
法科大学院には法学既修者コースと法学未修者コースの2つが設けられており、それぞれのコースに合格すれば法科大学院に通うことが可能です。また、法学部を設置する大学が法科大学院の既修者コースのカリキュラムと一貫的に接続している法曹コースもあります。
この場合、大学で3年間、早期卒業後に法科大学院既修者コースで2年間学修し、法科大学院において司法試験の受験資格を得ることになります。予備試験の令和4年度の最終合格率は3.6%となっており、司法試験の受験資格を得るといった観点からも難易度は高いといえるでしょう。予備試験とは、旧司法試験制度が廃止されたことにより2011年から導入された試験制度で、法科大学院課程の修了者および司法試験予備試験の合格者が対象です。
司法試験・予備試験に社会人が独学で合格するのは無理?
司法試験・予備試験に社会人が独学で合格することは、不可能ではありません。しかし、以下の理由から独学での合格は難しいでしょう。
- どの教材を用いてどのような学習方法を実践すれば良いかわからない。
- 社会人は時間が限られており、学生のように多くの時間を勉強に充てることができない。
- 仕事をしながら勉強しなければならず、勉強のモチベーションが長期間続かない。
独学で司法試験に挑む場合、学習に用いるべき教材や実践すべき学習方法がわからず、学習のスタートが切りづらいかもしれません。司法試験・予備試験の合格には、論文試験の攻略が必要ですが、論文試験には明確な回答がなく、専門家に指導を受けながらでなくては難しいのが実情です。
さらに、社会人勉強に充てる時間が限られているため、効率良く勉強するための工夫が必要です。仕事をしながら勉強時間を確保するというのは大きな労力を使うため、モチベーションを維持するのも難しいでしょう。これらの理由から、社会人が独学で司法試験・予備試験に合格することは不可能ではありませんが、合格までの道のりは厳しいことが予想されます。
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司法試験・予備試験を受ける社会人が合格する割合は?
社会人が司法試験・予備試験の合格を目指すにあたっては、合格率について理解しておくことが大切です。ここでは、司法試験・予備試験の合格率について解説します。
司法試験の合格率
近年の司法試験の受験者数や合格率などは、以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2019年 | 4,466人 | 1,502人 | 33.6% |
2020年 | 3,703人 | 1,450人 | 39.2% |
2021年 | 3,424人 | 1,421人 | 41.5% |
2022年 | 3,082人 | 1,403人 | 45.5% |
2023年 | 3,928人 | 1,781人 | 45.3% |
出典:日本弁護士連合会「弁護士白書2022年度版」
出典:法務省「令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等」
上記のとおり、司法試験の合格率は近年40~45%程度で推移しています。ただし、上記は予備試験の合格者、もしくは法科大学院で2~3年間専門的に学んでいる人の中での合格率です。すでに高度な学習を行っている人たちの中で40%程度しか残らないと考えると、やはり難度が高い試験だと言えるでしょう。
予備試験合格者の司法試験合格率
近年における予備試験合格者の司法試験合格率は、以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2019年 | 385人 | 315人 | 81.8% |
2020年 | 423人 | 378人 | 89.4% |
2021年 | 400人 | 374人 | 93.5% |
2022年 | 405人 | 395人 | 97.5% |
2023年 | 353人 | 327人 | 92.6% |
出典:日本弁護士連合会「弁護士白書2022年度版」
出典:法務省「令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等」
上記のとおり、予備試験に合格した人の合格率は毎年90%前後と非常に高い数値で推移しています。司法試験全体の合格率がおおむね40%であることを考えると、非常に高い数値と言えるでしょう。法科大学院に通うことができない社会人でも、予備試験を突破して戦略的に司法試験に挑むことで合格は可能です。
科大学院の司法試験合格率
法科大学院を卒業した人の近年における司法試験合格率は、以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2019年 | 4,081人 | 1,187人 | 29.1% |
2020年 | 3,280人 | 1,072人 | 32.7% |
2021年 | 3,024人 | 1,047人 | 34.6% |
2022年 | 2,677人 | 1,008人 | 37.7% |
2023年 | 3,575人 | 1,454人 | 40.7% |
出典:日本弁護士連合会「弁護士白書2022年度版」
出典:法務省「令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等」 より算出
近年では30~40%程度の合格率で推移しています。また、2023年度の司法試験で多く合格者を出した法科大学院は、以下の通りです。
法科大学院 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
京都大法科大学院 | 275人 | 188人 | 68.4% |
慶応義塾大法科大学院 | 310人 | 186人 | 60.0% |
東京大法科大学院 | 315人 | 186人 | 59.0% |
早稲田大法科大学院 | 389人 | 174人 | 44.7% |
一橋大法科大学院 | 180人 | 121人 | 67.2% |
中央大法科大学院 | 229人 | 90人 | 39.3% |
大阪大法科大学院 | 182人 | 78人 | 42.9% |
神戸大法科大学院 | 146人 | 71人 | 48.6% |
名古屋大法科大学院 | 89人 | 42人 | 47.2% |
全体 | 3,575人 | 1,454人 | 40.7% |
出典:法務省「令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等」 より
上記は、あくまでも上位の法科大学院です。なかには合格者を一人も出せなかったところもあり、法科大学院による合格率の差は大きいと考えられます。
司法試験・予備試験合格を目指す社会人は予備試験ルートか法科大学院ルートのどちらが良い?
社会人が司法試験合格を目指すにあたっては、「予備試験ルート」「法科大学院ルート」のいずれを選択するか検討することが必要です。ここでは、予備試験ルートと法科大学院ルートそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
予備試験ルートのメリットとデメリット
予備試験ルートのメリットを整理すると、以下の通りです。
- 仕事との両立がしやすい
- 受験資格を問われない
- 合格までにかかる費用を抑えられる
- 自分のペースで勉強できる
- 居住地にとらわれず挑戦できる
予備試験には受験に必要な資格がなく、社会人でも挑戦しやすい試験です。また、法科大学院に通う費用がかからないためコストを抑えられ、オンライン講座などを活用すれば居住地に関係なく挑戦できます。
一方で、以下の点はデメリットと言えるかもしれません。
- 予備試験自体の難度が高い
- 自己管理力が問われる
予備試験の難度は高く、合格率が数パーセント程度だった旧司法試験に迫る難度だと言われています。また、法科大学院のように体系的なカリキュラムが用意されているわけではないことから、自分で計画を立ててその通りにこなす力が求められるでしょう。
法科大学院ルートのメリットとデメリット
法科大学院ルートのメリットは、以下の通りです。
- 修了すれば確実に司法試験の受験資格を得られる
- 夜間部なら社会人でも通える
- カリキュラムが整っている
- 講師や学生とのつながりを持てる
法科大学院のカリキュラムを修了すれば、確実に司法試験の受験資格を得られます。夜間部がある法科大学院であれば、社会人でも通うことは不可能ではありません。
一方で、法科大学院のデメリットは以下の通りです。
- 最低でも2年間は在籍する必要があり、時間とコストがかかる
- 留年するリスクが存在する
- 法科大学院を修了したとしても合格率は決して高いとはいえない
法科大学院に通うと、年間で60~100万円程度の費用がかかります。また、修了までには2、3年の年月が必要であり、一定の時間がかかるルートです。修了すれば司法試験の受験資格は確実に得られますが、予備試験ルートとは異なり合格率はそれほど高いわけではありません。
法科大学院に行かずに司法試験合格はできる?
法科大学院のカリキュラムを修了すれば、確実に司法試験の受験資格を得られます。しかし、近年では、法科大学院に通わず予備試験ルートでの合格を目指す社会人も少なくありません。
予備試験ルートでの司法試験合格率は高く、簡単なルートではもちろんありませんが合格は可能です。合格に必要な勉強法をしっかりと理解することで、法科大学院に行かなくとも司法試験に合格することは可能だと言えるでしょう。
司法試験・予備試験合格を狙う社会人にオススメの勉強方法
社会人が司法試験・予備試験合格を狙うなら、効果的な勉強方法を理解しておくことが大切です。そのためここでは、試験突破のためのおすすめの勉強方法をご紹介します。
通学式の予備校で勉強する
社会人が司法試験・予備試験合格を果たすための勉強方法としてまず挙げられるのが、通学式の予備校での学習です。通学式であれば予備校が組み立てたカリキュラムに合わせて学べることから、勉強のリズムを作りやすいでしょう。
また、予備校が自分にとって必要な勉強を教えてくれることで、効率的に学習を進められます。さらに、同じように司法試験突破を目指す仲間が周りにいることで、モチベーションを保ちやすいです。夜間コースの予備校もあるので、社会人であっても十分に活用できます。
オンライン予備校の通信講座で勉強する
通学に時間を使えない・使いたくない方や自宅周辺に予備校がない方であれば、オンライン予備校の通信講座を利用するのもおすすめです。オンラインで利用できることから通学の時間や費用がかからず、必要なテキストや添削サービスも利用できます。
オンラインでも必要に応じて講師とコミュニケーションができるサービスもあり、通学式と大きくは変わらない環境で学べる講座もあります。通学に時間がかからず好きな時にテキストや講座を閲覧できることから、忙しい社会人がスキマ時間に利用するには最適のサービスだと言えるでしょう。
司法試験・予備試験に社会人が合格するのに必要な勉強時間
ここでは、司法試験・予備試験に社会人が合格するために必要な勉強時間について解説します。限られた時間で学ぶ必要がある社会人にとっては、必要な勉強時間を知って効率的なスケジュールを立てることが大切です。
司法試験・予備試験に合格するために必要な勉強時間
司法試験の突破に必要な勉強時間は、最低でも2,000~3,000時間であるとされています。ただしこれはあくまでも目安の一つに過ぎず、場合によっては8,000時間とも1万時間とも言われているのが実情です。
仮に2,000時間だとしても、1週間あたり20時間の勉強を2年間続けることが求められます。必要以上に無理をすると学習を続けることが難しいため、時間を確保して上手に学習していくことが必要です。
社会人が1年で合格するためのスケジュールの立て方
社会人が1年で合格するためには、目標を定めてそこから逆算してスケジュールを立てていくことが大切です。期限を決めないと着実にやるべきことを実行できず、結果として計画通りに進められないかもしれません。
また、目標はできるだけ細かく立てて、少しずつ着実に進められるようにすることが大切です。「1年後」「半年後」など漠然と目標を決めただけでは、具体的な行動にはつながりません。
1年後の目標を立てたら、次に半年後、1ヶ月後、1週間後と目標を細かく設定していくことが重要です。さらに、計画通りに進まないことは多々あることから、逐次目標とのずれを確認しつつ計画を見直すことも求められます。
司法試験・予備試験合格を目指す社会人からのよくある質問
予備校に通うだけで合格できる?
予備校に通うだけで合格できるか否かは、人によって異なります。それぞれ得意な分野や得意な学習スタイルが異なり、各自が必要に応じて個別指導を受講し、苦手分野を克服する必要があるためです。
司法試験・予備試験の個別指導塾「L’essor(レ・ソール)」では、オーダーメイドの個別指導を提供しています。実績のある講師がマンツーマンで指導を行うため、自分の苦手分野に関してじっくりと対策していくことが可能です。
40代〜50代でもこれから勉強して合格できる?
40代、50代の方でも、これから勉強を始めて司法試験に合格することは可能です。実際に合格している40~50代の方もいるので、始めるにあたって遅すぎることは決してありません。レ・ソールではサービス内容についての相談も承っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
高学歴ではなくても合格できる?
司法試験は、高学歴の方でなくても合格することが可能です。もちろん、高学歴者の方が有利な面はありますが、努力次第で学歴に関係なく合格することは十分にできます。大切なのは、自分に必要な勉強内容を知り、自分に合った学習方法でやるべきことを一つずつ着実にこなしていくことです。
まとめ
社会人でも、司法試験・予備試験に合格することは十分に可能です。予備試験ルートと法科大学院ルートのいずれかより自分に合った方法を選択し、計画的に学習を進めていく必要があります。また、目標を立てる際には期限を明確に定め、できるだけ目標を細分化して取り組んでいきましょう。
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